離婚をしたときに年金はどのようになるのかということは気になることもあるかと思います。

かつて年金には離婚時の想定制度はなかったので、働いている側が離婚後は圧倒的に有利な時代もありました。

しかし現在では離婚による年金の分割制度もあるので、離婚をするかもという人は知っておいて欲しい制度となっています。

 

離婚時の年金分割の2つの制度

 

離婚時の年金分割の制度には2種類あります。

 

  • 合意分割制度
  • 3号分割制度

 

まずこの2種類の違いがよくわからないというように感じる人が多いと思いますが、簡単にいえば

 

  • 夫婦が離婚時などに年金分割の割合などで合意できたときに適用されるのが合意分割
  • 合意なしに年金分割を請求する制度が3号分割

 

ということで離婚時の双方の話し合いによる了承、合意があるのかどうかでまず適用がどちらになるのかが変わってくるというようになります。

 

離婚時の合意分割の流れ

 

離婚時に合意分割をするというときの流れについてまず紹介します。

 

  • 離婚を決定する
  • 当事者間での合意、または裁判所による定め
  • 合意分割の請求
  • 当事者の各月の標準報酬を分割
  • 分割された標準報酬に応じた年金額の支給

 

合意分割での離婚ですが、実際には離婚というだけでなく

 

  • 離婚
  • 婚姻の取り消し
  • 事実婚の解消

 

ただし事実婚の解消についてですが、当事者の一方が国民年金の第3号被保険者と認定されていた場合に限ります。

 

離婚時の合意分割の要件

 

では離婚時の合意分割の適用要件について紹介していきます。

 

  • 当事者が標準報酬改定請求をすること、請求する按分割合について合意していること
  • 当事者間で合意していないときでも、家庭裁判所が按分割合を定めたとき

 

要件としてはこの2つがあります。(厚生年金法第78条の2第1項)

家庭裁判所は当事者の一方の申出によって保険料納付の寄与の程度やその他の一切の事情を考慮して請求するべき按分割合を定めることができるとされています。

 

合意分割の手続きについて

 

合意分割の手続きにおける注意点についてですが、

 

  • 離婚等をしたときから2年を経過したときは行うことができません
  • 公正証書の添付が必要

 

公正証書とは公証役場における公証人が作成した書類のことですが、合意分割では合意分割への合意があること、そして按分割合の記載をして添付した状態で手続きを行います。

 

合意分割による按分割合

 

合意分割による按分割合についてはその範囲が決められています。(厚生年金法第78条の3第1項)

 

第2号改定者の対象期間標準報酬総額/当事者双方の対象期間標準報酬総額 < 按分割合 ≦ 1/2

 

第1号改定者

  • 被保険者または被保険者であった者
  • 合意分割で改定される側で、通常は元夫

 

第2号改定者

  • 第1号改定者の配偶者であった者
  • 改定して標準報酬が増額される側で、通常は元妻

 

対象期間

  • 婚姻期間のこと
  • その他厚生労働省令で定める期間を指す

 

按分割合については要するに離婚前の割合を超えて、1/2以下までの範囲内というようになります。

 

その他合意分割の注意点やポイント

 

  • 合意分割は第2号改定者が国民年金の第1号(自営業や自分で国民年金保険料を納付していた期間)、第2号(会社員など)に該当していたときの期間についても行われる
  • 合意分割で改定されれば、その効果は改定請求があった日から将来に向かってのみ効力を発するので、過去にさかのぼって年金額が改定されることはない
  • 合意分割が行われれば、元配偶者が死亡しても年金の支給には影響しない
  • 老齢厚生年金、障害厚生年金の受給権者について合意分割が行われれば、改定請求のあった日の属する月の翌月から年金額が改定される

 

離婚時みなし被保険者期間の扱いについて

 

合意分割が行われた期間について、第2号改定者が国民年金の第1号や第3号であったとしても、その期間について厚生年金の被保険者期間であったとみなされます。

この期間を離婚時みなし被保険者期間といいますが、この期間の扱いについてはやや特殊なものとなります。(厚生年金法第78条の11等)

 

離婚時みなし被保険者期間が考慮されるもの

  • 報酬比例の年金額の計算基礎となる期間
  • 長期要件の遺族厚生年金にかかる死亡した物の被保険者期間
  • 振替加算の調整(振替加算を行わない場合)にかかる老齢厚生年金額の計算基礎となる期間(原則240ヶ月以上)

 

離婚時みなし被保険者期間が考慮されないもの

  • 老齢厚生年金の受給資格期間(10年)
  • 特別支給の老齢厚生年金の定額部分の計算基礎となる期間
  • 老齢厚生年金の加給年金額の加算要件となる期間(240ヶ月以上)
  • 特別支給の老齢厚生年金の支給要件となる1年以上の期間
  • 長期加入者の特例44年以上の要件となる期間
  • 脱退一時金の支給要件となる期間(6ヶ月以上)

 

3号分割制度

 

3号分割は当事者間の合意を必要とせず、被扶養配偶者が請求をすると当然に標準報酬が1/2に分割されるという制度となります。

 

3号分割の要件

 

3号分割の要件ですが、

 

  • 離婚については離婚、婚姻の取り消し、事実婚の解消(当事者の一方が国民年金第3号被保険者として認定されていた場合に限る)、被保険者が行方不明となり3年経過したときなどが含まれる
  • 分割請求をした日において特定被保険者が障害厚生年金の受給権者であるときには3号分割の対象外となる
  • やはり離婚等をしたときから2年を経過したときは請求することができない

 

というところは知っておくべき箇所となります。

 

3号分割で必要な定義

 

3号分割でもいくつか概念が出てくるので紹介します。

 

特定被保険者

  • 被保険者または被保険者であった者を指す
  • 標準報酬が減額されて改定される側で、通常は元夫を指す

 

被扶養配偶者

  • 特定被保険者の配偶者として国民年金の第3号被保険者に該当していた者を指す
  • 通常は元妻を指す

 

特定期間

  • 特定被保険者が被保険者であった期間
  • かつ被扶養配偶者が特定被保険者の配偶者として国民年金の第3号被保険者であった期間を指す
  • ただし2008年4月1日前の期間は特定期間とならない

 

3号分割の割合と注意点

 

3号分割は按分割合は合意分割のような範囲はありません。

特定期間における標準報酬を1/2分割と当然になりますが、いくつか注意して欲しいこともあります。

 

  • 3号分割の施行日前の2008年4月1日前の期間については3号分割の対象とならない
  • 被扶養者が国民年金第3号被保険者の期間についてのみ分割対象となる

 

結婚については2008年4月1日前に行っていても対象となりますが、分割対象となるのはそのうち上の2つの条件を満たす期間だけとなります。

 

3号分割の効果

 

3号分割の効果についてですが、

 

  • 3号分割の改定も請求のあった日から将来に向かってのみ効力を発揮する
  • 3号分割の被保険者期間の扱いについては合意分割の離婚時みなし被保険者期間と同様とされる

 

つまり請求の過去にさかのぼって年金額が改定されたりすることがないという点で合意分割と同じというようにいえます。

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