厚生年金については法人であれば適用事業所となり、個人事業でも従業員が5人以上いればやはり適用となります。

 

厚生年金の会社の加入条件!法人形態、従業員数、業種ごとに解説

 

しかし厚生年金に加入するのは健康保険も加入となりますし、2つの負担は企業には重くかかってきます。

そのため随分と昔よりかは減ったとは思いますが、それでも厚生年金の適用事業所であっても違法に未加入となっている状態のところも多いかもしれません。

このような未加入状態では最終的にどのような事態が起きるのかについて今回は解説したいと思います。

 

厚生年金に違法に未加入!罰則はどのようなものか?

 

厚生年金と健康保険とを合わせて社会保険となりますが、健康保険法第208条には違法な未加入状態の企業への罰則が定められています。

 

健康保険法第208条

事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

1、被保険者の資格取得、喪失、報酬月額、賞与額に関する事項を保険者に届出せず、又は虚偽の届出をしたとき

3、保険料納付義務に違反して督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき

 

懲役や罰金というのはプレス発表が行われ、社名が公表されることもあるということを意味します。

後の取引や採用などに影響が出てくることもあるのも注意しておいて欲しいと思います。

 

厚生年金の未加入と遡及される追徴金

 

保険料というのは時効が2年とされますので、未加入から是正を受けるときには強制加入をされ、さらに過去2年間の保険料を遡及されて追徴金を課されることになります。

事業所によってはかなり大きな金額となり、経営がおかしくなることも少なくありません。

たとえばサンプルを挙げて計算をしてみます。

社長(月50万)、従業員(30万)、アルバイト(月10万、週30時間以上勤務とする)といった厚生年金未加入の企業があったとします。

この場合、追徴金は

 

社長

  • 健康保険料 50650円
  • 厚生年金  91500円
  • 合計    142150円

 

従業員

  • 健康保険料 30390円
  • 厚生年金  54900円
  • 合計    85290円

 

アルバイト

  • 健康保険料 9927円
  • 厚生年金  17934円
  • 合計    27861円

 

以上大阪府の平成29年度の金額を参考に計算しています。

 

となりますので、

 

(142150 + 85290 + 27861)×24ヶ月=612万円

 

というように従業員数がこのように少なくてもかなりの金額となることがわかります。

通常これらは会社と従業員とが折半して支払っていくのですが、すでに退職していて今からその退職者から徴収することができないときにはすべて企業が支払うというのが原則となります。

 

厚生年金の未加入と調査

 

厚生年金など社会保険の未加入が疑われるときには年金機構から文書が届くなど何かのアクションを受けることがあります。

 

  • 厚生年金保険・健康保険の加入状況について(お願い)という指導文書が届く
  • 突然年金事務所による立ち入り調査が入る

 

このように年金事務所の調査も次第に強化されていくという感じですが、文書や立ち入り調査の対象企業はどのようにリストアップするのでしょうか?

結論からいいますとこれも近年急速に年金事務所の動きは厳しく、鋭くなってきています。

 

  • 厚生年金未加入企業について国税庁の納税情報を共有してリストアップしている
  • 日本年金機構サイトでも、社会保険の加入状況を事業所名称などで検索できるシステムが開設された

 

ということで簡単にいえばデータベース化の強化と、管轄の本来違う国税庁との情報の共有化によって違法な厚生年金の未加入企業をリストアップする機能が増したということです。

 

厚生年金の未加入と相談、告発の動きの強化

 

昔はあまりなかった動きですが、厚生年金や健康保険の違法な未加入というのは従業員側からの年金機構などへの相談、告発という動きも年々強くなっているように思います。

厚生年金などに未加入な企業であれば本来保険料を企業とで折半負担となるのが、従業員が全額負担となります。

この不公平さから告発という動きになることも多いようです。

従業員にも生活もあるので、生活費の工面が難しいときもこの告発という動きになりやすいのかもしれません。

 

  • 従業員が年金機構や年金事務所に厚生年金未加入を告発
  • 早いと1~2週間で立ち入り調査が企業に入ることもある

 

というようなちょっと驚くようなスピードで調査につながることもあります。

この告発から強制加入というときも過去2年間の追徴金がかかってくることも多いので注意が必要です。

 

厚生年金未加入問題とその背景

 

上のように厚生年金未加入については今後もより厳しくなっていくといえます。

 

  • 少子高齢化
  • 生活保護者の増加によって年金をしっかりと払い受給していく人を増やさないといけない
  • 年々増加していく年金や健康保険の費用を政府は回収していかないといけない

 

というように情勢が厳しくなっても緩まることはないからです。

 

厚生年金未加入の追徴金は逃げられない?

 

みんなで渡れば怖くないというところもあるかもしれませんが、

 

  • 自分には厚生年金の調査は来ない
  • 加入すれば経営できない
  • 知り合いの企業も厚生年金には違法に加入していない
  • 最悪追徴金が切れば倒産させれば良い

 

といったことで未加入状態を放置しているということもあるかもしれません。

ただ社会保険料も税金と同様に倒産しても逃げられません。

最後は社長個人の財産にも差押えが及ぶようになります。

このように社会保険料というのは民間の借金や債務よりも怖いところがあるので、安易に未加入問題を考えていてはいけません。

 

厚生年金未加入とその後の定期調査

 

厚生年金の強制加入をされて、追徴金を支払ってもその後も定期調査を受けることになります。

通常5年サイクルといったような間隔ですが、悪質と見られていることも多く3年サイクルと考えておくと良いでしょう。

 

  • パートタイマーや有期雇用(パート、契約社員など期間の定めのあるすべての雇用形態)労働者の社会保険加入が法定通りに実施されているか?
  • 標準報酬月額の金額が違法ではないか?
  • 随時改定をしているかどうか?
  • 高齢者の社会保険加入が法定通りに実施されているか?
  • 代表や役員の社会保険加入が法定通りに実施されているか?

 

といったところが違法であれば再度是正を受けることになりますし、追徴金の可能性も出てきます。

加入をすれば安心ということでなく、法律通りに運営していくことも厚生年金では重要ということになります。

 

厚生年金未加入と士業

 

厚生年金未加入という状態で士業とはかかわりがいくつかのシーンで出てきますが、そのポイントについても紹介しておきますと

 

  • 仮に設立して間もない状態で社労士をはじめ士業に厚生年金未加入でいくというようなアドバイスを受けても罰則や追徴金は士業に行くことはなく、まず会社に行く
  • 厚生年金未加入の督促を受けているときには社労士をはじめとした士業に相談してもあまり効果はない

 

厚生年金の未加入での追徴金ははじめは年金事務所の担当者となりますが、フェーズが進むと国税庁の担当者となります。

文書の段階であればまだしも来所通知を受けている段階では追徴金の一括払いしか認められないことも多く、士業が入って支払いの猶予や分割がなされるというメリットもそう期待できません。

そのため何の問題でもそうですが、厚生年金の未加入についても早めの対処が有効的というわけです。

たとえば早い段階での対処であれば追徴金は課されずに、加入以後の保険料納付だけで済むこともあるというような形になります。

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